今日も世界で迷子。

小心者の冒険者。長年勤めたお仕事を辞め、海外をぐるりとしていました。公務員を辞めて思うことや、旅の記録を綴っています。

北根室RANCH WAY 女1人ロングトレイル記⑦ からまつの湯〜西別岳山小屋

温泉でポカポカしたあとは、そのままルンルンで寝袋へ

しかし、、実は足がとても痛い、、

 

親指と人差し指同士がにあたってしまった形で歩き続けた結果、両足の親指の内側に水泡ができてしまっていたのだ。

 

見る限り血豆にはなってない。

まー平気かなーと思いながらも、ヒラさんとの世間話をしている中で、実は足に水泡ができちゃって~という話を出す。

 

すると、診てくれるというヒラさん。

1日中歩き続けたため、美しいものじゃないですが、、、と思いながら、さりげなく足をパタパタさせて空気に触れさせ、できる限り乾かしたあと、診てもらう。

 

診てもらった結果、水泡を潰した方がいいよということになる。

水泡潰したことなんかない(°_°)

 

てか、わたしがニキビも潰さないタイプだ。痛いの怖い。

 

でも針を刺すならできるかなと思って荷物を探すが針がみつからない。

 

そこで隣のテントのヒラさんに針を借りにいったら、自分も針がなくてね、これで、、と、ナイフを渡される(°_°)

 

ナイフで水泡切り開くの超怖いんですけど。。。

砥いでるやつだから、扱いに気をつけて!とヒラさん。

 

おお、オオゥ、、ハイと若色。

 

テントに戻り、ティッシュとか消毒、絆創膏を用意。

 ヘッドランプをして、いざ自分の足にナイフをあてる。

 

怖くて、全然できない。

そして人の皮膚は本当によくできている。

怖いながらもナイフを一生懸命当てているのに、皮膚の上を滑るだけだ。

怖くて涙が出てくる。

 

隣のテントから「できたー?」とヒラさんの声。

「こ、怖くてできてませんーそ、そして硬いー」

「そうそう。人の皮膚は素晴らしいってことだよね。丈夫にできてるんだ。でも自分の足!また明日も歩く足なんだから、自分で手入れしなきゃダメ。ガンバレ」

 

本当にその通りだと思った。

 

ヒラさんにやってもらおうという気はなかったけど、もし共に歩くパートナーがいたら、その人にやってもらっていたかもしれない。

でもこの水泡ができてる足はわたしの足で、わたしが今どうするかがかかっていて、わたしがやるかやらないかで明日の状況が全く変わる大切な足なんだ。

 

ヒラさんのこの言葉で、自分の身体と意識が近いものになった。

おそらく普段生活では、身体と意識は程よく遠いところにあると思う。

わかってても、意識はしていない。

どこか他力本願だったり、わかってる気になっていたり、使いこなせてる気になっている。

しかしランチウェイを歩くためには13キロの荷物を持って歩き続けるためには、小さな怪我も命取りだ。

頭ではわかっていたけど、意識はわかっていなかった。しかし水泡カットの儀式により、わたしはめでたく自分の身体と近づくことができた。

 

話は戻って、若色はできたのか?水泡カット。

やりました

目に涙を溜めながら、口で怖い怖い怖いと呟きながら、ナイフの刃をあーでもないこーでもないと当てがい、水泡の水を出すことができました。

自分でビビっていたほど痛みはなかった。

 

できましたー!とヒラさんに声をかけると、その後の処理について、

絆創膏ははらない。

(危ない、、貼るところやった)

キレイな靴下があったらそれを履いて一晩過ごそう。

(ラストのキレイ靴下ある!)

 

と、的確な指示を言われ、その通りに処置。

 

そして、夜。

 

最初怖いからラジオをつけていた。

しかしながら山奥すぎて、聞こえる音はほとん雑音。

 

あと、この からまつの湯には夜になっても車で訪れる人がいて、その度に車の音と人の話し声。

 

ノイズ聞きながらだと、ウトウトしても、しょーじき眠りにつけない。

 

ええぃ!ままよ!!とラジオを切り、その後は朝までグッスリ寝ました。


(注意)北根室ランチウエイは、からまつの湯でのキャンプ宿泊を推奨しておりません。テント設営の際は、すべて自己責任でご判断ください。

 

明るくなると目がさめる。

この日も5時くらいに起床。

昨日の晩、ここまで来たらヒラさんが朝風呂に入るべきだ!と言っていたのを思い出し、起き出す。

 

川の近くだからか、テント内の結露がすごい。

いいねぇいいねぇアウトドアって感じだねぇとニヤニヤしながらテントの外へ。

 

隣のテントがゴソゴソしていたので、ヒラさんが起きたのは知っていた。

 

おはよーございますと声をかけると、いっちょ風呂行きますか!と言われ、2人でお風呂へ。

昨日入ってない、橋から丸見え風呂に入ったらー?と言われ、ヒラさんは向こうのお風呂に。若菜は橋から丸見え風呂に入る。

 

人が来ると面倒だから、さっさと服を脱いでかけ湯をしようと桶をいれる。

 

恐ろしく熱い(笑)

 

おそらく人が全然入ってなかい時間が長くて、湯加減調整されてなかったんだよね(笑)

 

うわ、あつーー ヘ( ̄ ̄;)ノ ヽ(; ̄ ̄)

 

いやでも、これはわたしの身体が冷えてるからじゃないかな( 'ω') ?

もしかしたら、入っちゃえば慣れるんじゃないかな( 'ω') ?

 

ポチャ

 

 

熱っっ!!!!!!

無理やこれ

 

昨日入ったあちら側の湯船なら、温泉卵おじさんからのぬるま湯レクチャーがあったおかげで湯加減わかるんだけど、いかんせんこちらはわからない。

 

退却!!

 

ヒラさんに、熱すぎて無理や!と伝えて、テントに戻る。

 

聞くと、ヒラさん側はぬるすぎて出れん騒ぎになってた(笑)

 

極端(笑)

 

テントに戻って朝食。

この日も満腹になることはできず、腹5分目でごちそうさま。

 

ヒラさん戻って来て、お湯の具合もちょうどよくなったから入ったらどうですか?と言われ、では入りましょう。と、お風呂へ向かう。

 

お風呂に行くと、地元のおじさんらしき人がお掃除をしている。

あぁ、このお風呂はこうやって維持管理がされているのだなぁと感心する。

おじさんに一あいさつをし、湯に身体を沈める。

いやあ、このお風呂は本当に気持ちがいい。

昨日切った足の水泡を見ると、とても良くなっている感じがする。痛みもない。

よかったー。と思ってお風呂を上がる。

 

ここのからまつの湯キャンプで、気づいたことがある。

 

クマ。

人がこの言葉を発する時、

なぜか文末にクマをつけたくなってしまう法則!!

 

「クマ出ますよ。クマ」

「あそこでキャンプしてたの?クマいるんだぞ。クマ」

「クマ出なかったかい?クマ。」

 

すべて実際に言われた言葉です(笑)

 

ほら言ってみて。

なぜか文末にクマをつけたくなりません?笑

 

お風呂から出たらヒラさんは片付けの準備をしていた。

今日はわたしが後発で、彼を追いかける方かと思いながら、片付けしようとしていると、ヒラさんは荷物をまとめた後、この周りをぐるっと見て、写真を撮ると言う。

 

あぁこの人のマイペースは心地よいなぁと思う。

本当の、真の、マイペース。

マイペースって、悪い意味で使われがちで、団体の中で迷惑かけがちの人にチクっと言うときに使われたりするけど。

 

自分の時間を、ちゃんと自分のために使えるマイペースって、わたしはあまりできていないなぁ。と思う。

 

一回りしたヒラさんが帰ってきて、キャンプ地の周りの様子を教えてくれる。

そういえば足はどうですか?と聞かれ、

ずいぶん良くなりましたありがとうございました。でも足より肩が痛くてつらいですねーと伝えると、こんなこと言うのは失礼かもしれませんが、、との前置き後、荷物を腰に乗っけられてない。と教えてもらえる。

肩で全部支えていたら、そりゃあ痛くて辛くなる。

腰に乗せると楽になりますよ。と。

 

確かに。

腰の位置にある、カチャンとはめられるやつ。

わたしは全然使っていなかった。

初日こそ使っていたものの、動きにくい感じがして、2日目は外してブラブラさせていた。

今日から使ってみよう。

 

ヒラさん出発後、パッキングをして、エリザベスにおでこをつけて恒例のあいさつ。

左腕を通してから、一気に背中に乗せる。

乗せてから、ウエストのカチャンを閉めて、ウエストを締め付けるようにグーーーッと締め上げる。

 

おお、これが俗に言う腰に乗った状態か!!

肩が、肩が超楽。

 

色が気に入って購入したエリザベスはメンズ用。

バックパックを位購入したアウトドアブランド ノースフェイスにはレディス用もあったのだけれど「谷底に落ちても発見される色がいいのです!」とよくわからないゴリ押しをして、メンズ用の黄色を購入した。

(レディスは渋いグリーンと、ピンクしかなかった。)

 

エリザベスはメンズ用だからなのもあり、ウエストを締め上げるとこれ以上締め上げられません限界に行き着くが、まあいい具合でしょ。と、これで出発。

 

からまつの湯を出てからは、アスファルトの道を歩く。

根室ランチウェイはアスファルトの道も土の道もあったのだけれど、総じて疲れるのはアスファルトの道!

足元が固いのもあるけど、音とか、匂い、景色が疲れる。

普段の生活では大方アスファルトばかりを歩くから気がつかないけど、きっと少しずつ疲れてるんだなーと思った。

みんなも日常生活に疲れたら雑木林でも歩くといいね1時間くらい。

 

だからアスファルトの道ヤダと思いながらも、肩が痛くないのが快適で進む。

 

アスファルトの道から、右手の山道へ入る。

3日目にもなると、上着の脱ぎ着が慣れてくる。

自分の汗かくタイミングとか、これくらいだと心地良いというのがわかってくるので、早めにウィンドブレーカーを脱いだり着たりすることができた。

 

山道の道中でヒラさんと遭遇。

ヒラさんはゆっくり歩きたい人なので、追い越す。

 

ロープを使ったアップダウンの激しい山道を越えると、でました。湿原。

 

ルートの中に湿原を越えるポイントがあるんです。

ね!ね!面白いでしょ?北根室ランチウェイ!

 

湿原好きの若色さん。湿り気を帯びた空気感が好み。

 

湿原内は本当にアリスの世界。

ウネウネした不思議な植物と、小川。

ヌメヌメベタベタした地面。

 

そうそう。

この湿原に来るまでには、1-2mくらいの小さな小川をいくつも渡ってきた。

全部の小川にはありがたいことに丸太や板切れがかかっていたので、濡れずに渡ることができた。

直径30センチくるいのガチの未加工丸太もあって、滑ったらどうしよう(怪我はしないが、靴が濡れるのマジでヘコむ)と恐々渡っていたのだが、いくつも渡るうちにあることに気づく。

丸太の丈夫さだ。

 

加工されて、板状になっている木は渡りやすい。滑ることもまずない。

でも、しなる。

 

丸太はツルリンコ行きそうで怖い。

でも、しならない。すごく丈夫。

細い丸太でも、しなることはまずない。

 

丸という形の力の逃げ方というか、力の伝わり方を体感。

学生時代、こーゆー勉強だと面白かったなぁ。

 

ここの湿原はTHE 湿原。

みんながすぐにイメージできるような絵に描いた湿原。

 

ネバーエンディングストーリーでの、馬が沈むシーンくらいの湿原。

(あのシーン泣くよね。。。)

 

いうても、ネトネトの土にかろうじての木の板を置いてあるから、そこをおっかなビックリ歩くことができる。

この板がなければわたしの足は沈んでしまう。

 

本当に気持ち良くて、不思議なところで、

霧が開けたら、脚が大きい小人達が鍛冶屋を営んでいても、違和感がないような現実感のない場所。

 

そしたら、、

油断してました、、、、

 

ネチョッ!!

ギャーーーーーーーーーーーーー!!!

湿原に響き渡る、この旅1番の悲鳴をあげました。

 

あたいの右足が、、泥に埋まった、、( ˙̫̮ )

 

でも間一髪セーフ!

泥が靴内に進入する、5ミリ下で止まった。

 

うおおおおと言いながら、しかし慎重に足を持ち上げる。

 

まだ今夜の宿泊地まで先は長い。

正直ここで泥が靴の中に進入したらかなり、かなり痛い。

 

お願い!浸みないでー

と思いながら、猛烈に重い右足を引き抜くと、右靴はしっかりチョコレート色コーティング⭐️

 

うぇーん、ぐちょぐちょだようぇーんでもギリギリ靴の中に入らなくて良かったよーと独り言を言いながら歩く。

 

すると、小川に出る。

トレイルマップによると、この先水場がないので、ここで水を汲めとのこと。

 

ワイルドだぜ!!!!

 

この木枠の中から汲もう。と表示があるのだが、なんかその水は停滞してる感じがして好きになれなかったので、本流から2本の水筒に水を汲む。

 

この小川の側も、現実離れしていて、本当にキレイで、しばらくそこにいた。

あ、泥でグチョグチョになった靴もいい具合に洗えた。

 

沢なので、降りる前と登った後にクマよけの鐘がある。

ということはクマもこのあたりにいるということだ。

でも怖さとかはそんなになくて、クマを含めて、自分も自然の一部に溶け合っている不思議な気分だった。

 

そこから歩くと大きーーい牧場にでる。

ここからは牧場に沿ってひたすら歩く。

 

この日も天気が良くて、本当に気持ちが良くて、昨日までだったらできなかったことにトライした。

 

雄大な牧場を眺めながら、コーヒーを淹れてみた。

 

エリザベスから必要なものを下ろし、お湯を沸かす。

お尻に3つ折りシートを敷き、お湯がわくのをラジオを聴きながらボーッと待つ。

 

今回はゴミのことも考え(ゴミは全て持ち帰り)粉末コーヒーしか持ってきていなかったので、コーヒーをお湯に溶かし、飲む。

 

ぜ い た く。

 

嬉しかったよ。

初日、2日目と、やたら焦っていたわたしが成長している。

わたしこの景色を眺めながらコーヒーを飲んでみたい!!

というのを実現してあげられた自分を褒めてあげたい!

 

そこからは砂利道を歩く。

たまーに車が横を通り過ぎる。

トラックと違ってあんまりこっち見てこないからそんなに居心地悪くない。

 

でもワイルドトイレをしようと思うと車が近づく音がして、おーーっと!!となるシーンがいくつかあった。

 

この道は車も通れる広さに整備された砂利道。
地図によると明日は山を登らなければならない。

だから、これは登山口に続く道なんだ。

 

登山、憂鬱。

坂道キライ。

 

でもここまできたら行くしかない。

最終日に山を越えるあたりもいい道でしょ?!北根室ランチウェイ!!

 

ここまでくるとちょっと余裕が出てきて、道路のコーナーのミラーに映った自分を写真に撮ったりすることができた。

初日とは大違いだ。

 

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余裕が出てきた3日目

 

今日の宿泊は山小屋。

電気なし。鍵なし。水道なし。

トイレは山小屋から少し離れたところにある不便さ。

 

いいえ、屋根があって、壁がある。

てか布団と毛布まである快適さが上回る。

 

この晩わたしは、この山小屋にてヒラさんと2人っきりの夜を過ごすことになる。

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