今日も世界で迷子。

小心者の冒険者。長年勤めたお仕事を辞め、海外をぐるりとしていました。公務員を辞めて思うことや、旅の記録を綴っています。

力を抜いてできること

登山が苦手だ。

小学6年生の時に家族で挑んだ富士山登山の悪夢がわたしの登山デビュー
岩と石ばかりで、ここは地獄か?という坂をひたすら登り、登りついた先も、、、うん、、と、そこまでの感動も味わえず、頂上の宿が(今なら大丈夫かもしれないが)子供のわたしには色々無理で、結果ご来光を見ながら吐くという、色んな意味で酸っぱい記憶が残っている。
そして大人になるにつれ、下り坂がとても苦手になってきた。
登りはまだいい。体力もあるので、自分のペースさえ守らせてもらえれば気持ちよく登ることができる。
しかし登っている最中から「この分、、下るのか」とブルーになっているわたしがいる。

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ガイドさんが即席で作ってくれたハートと馬

おそらくわたしの体重のかけかたがよくないのだろう。
わたしは下り坂で滑りがちなのである。

これは山に限ったことでなく、日常生活でもよく滑る。
雨の日の傾斜がかかった道路など、最善の注意を払って、ソロリソロリと進んで、、、、、滑る(笑)

だから、ベトナム サパでのトレッキングで急斜面を、ホテルで借りた長靴で登っていた時は本当にブルーだった。
さっきまで雨が降っていたため、足元はグチャグチャ。
こんなん100%滑るじゃん、、、と後のことを思い、ブルーになっていた。

わたしはベトナム ハノイに何にも考えずに来た。
以前からなんとなく訪れてみたい土地だったので。
そして予約していたゲストハウスにチェックインした時、そのゲストハウスはツアー会社も兼ねていたため、フリービール(フリービールなんて初めての経験ですよ)で気をよくしたわたしは、スタッフの導きのとおり、1泊ずつの2つのツアーに申し込んだ。
その1つが、ここベトナム サパのトレッキングと農村ステイのツアーだ。

内容を知らされていないわたしには、何が起きるのかわからないミステリーツアー。
ハノイからサパまでは、スリーピングバスなる、画期的で超快適なバスに乗るのだがボンヤリしていたわたしは、バスの運転手に「このバスはイポー行き?」と尋ね「いいや、サパだが」「あっそうか、じゃあ乗らない!」と見送り、(イポーはマレーシアにある土地。完全に間違えた)その後原チャに乗った若者が迎えに来てくれ、なんとかバスに乗り込むことができた。(「ホントごめん!」と何度も謝った。。。ごめんね)

サパにある山を登った私は、頂上で素晴らしい景色を堪能するが、心ここにあらず。
ここから始まる下りに心底ブルーになっていた。

下り、いざスタート也。

これまでの経験を踏まえ、わたしはとにかく体重を後ろにかけすぎるのが原因と気がついていたので、とにかく体重を前にかけるように務める。
「転ぶ時は前に転ぶ!」が合言葉だ。

カラフルな民族衣装を着た、若い女性のガイドさんが差し出してくれた手を必死につかみ、なんとかなんとか下る。
途中軽く滑る場面は何度となくあり、その度に「ヒャーッ!」と声をあげながら進む。
最初、ホテルで紹介を受けた時より、ガイドさんがやたらいるなぁと思いながらも、我ら8人のパーティはそれぞれのガイドさんに見守られながら進む。

8人のメンバーのほとんどが、すっ転んでお尻の部分に泥がついている。足も泥だらけだ。
わたしは1人のガイド女の子がつきっきりになってくれているので(さながら介護)ギリギリのところで転ばないで済んでいた。

滑ることが怖いわたしは涙目になりながらついていく。
「ゆっくり、ゆっくり」と言われながら、進む。

わたしはその子の後ろをずっとついて歩いて気がついた。
彼女の力はとても抜けているのだ。

そうだ、真似してみようと思って、ずっとこめていた力を抜く。
歯の食いしばりをやめ、足の付け根を柔らかくする、肩を落とし、息を吐く。

するとどうだろう。
ずいぶん動きやすくなったのだ。

わたしは必要以上に力を入れていたことに気がついた。

わたしのダンスの先生が言っていたことを思い出した。
力は入れることより、抜くことの方が難しい。
かっこいいダンスができる人は、(身体のパーツごとの)力の抜き方を知っているから、メリハリを出すことができるのだ。

力の抜き方。力を抜く。
意識すると(大体の場合)力は入る。

日常生活の中だと、どのようにして意識して力を抜くのだろうと思った。
スマホを見ている時は、頭を休めることはできるが、力は抜けていない気がする。

好きな人にハグされて横になっている時は究極に力が抜けているが、それは人によってできたりできなかったり。

みんなはもっと力を抜く(リラックス)方法を知るべきだと思う。
できたら1つではなくいろんな方法を。
呼吸法でもいいし、ストレッチでも、瞑想でも、アロマでも。

力を抜くと、これまでできなかったことが急にできたりする。
力を入れてできた事と同じくらい、力を抜いてできることがあなたにはある。

アスリートや、棋士が本来の力を最大に出すことができるのはリラックスしている状態だという。

ちなみに、わたしを始終サポートしてくれた民族衣装の女の子は、最後に「ねぇ、マイフレンド」と言い、リュックから布やら小物入れやら財布を出してきた。「買ってくれてから家に帰るの」と。
あぁ、知らぬ間にガイドがこんなに増えていたのはこんなカラクリがあるのだと苦笑しながら、わたしは小さなポーチを購入した。

これもまた旅の一部だ。


 

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