北根室RANCH WAY 女1人ロングトレイル記④ 中標津空港〜開陽台
やっとの思いで北根室RANCH WAYのスタートをきることができた。
荷物が重くても、気持ちは軽い。
スタートすぐに牧場の敷地に侵入。
(入場というより、侵入という言葉が本当にしっくりくるw)
これこれ!
RANCH=牧場(昼食じゃないよ。牧場だよ。)
牧場の中を抜けるトレイルの道なんて、日本全国でも北根室ランチウエイだけだろうなぁと思いながら、迷わないようキョロキョロしながら歩く。
すると、出てきたのは電話ボックスよりも少し小さめの木造のBOX。
この旅の目印になる”KIRAWAY”の文字が。
扉を開けると、トレイルのエントリーシートと、足元には白い石灰が敷かれている。
エントリーシート!!!これも夢だったの!!
わたしにロングトレイルを教えた映画「わたしに会うまでの1600キロ」では、アメリカにあるPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)を歩くのだけど、そこでもセクションごとに名前と一言を書くシートが用意されていて、後から来る人は、それを見ながら自分の前をどんな人が歩いているんだろうと想像したりする。
映画「わたしに会うまでの1600キロ」ではこんな台詞がある
「やあ!シェリル(主人公の名前)!君のことをずっと追いかけていたんだよ!女性で1人で歩き続けるのはすごいね!」
エントリーシートをきっかけにこんな会話も生まれる、わたしにとっての憧れの存在だった!
そこに日時と氏名、年齢、スルーハイク(71キロ全部歩く予定)なのかセクションハイク(途中まで)なのかに○をつける。
少し悩みながらスルーハイクに○。
実は、全行程を走破できるとはあまり想定していなく、でも予定だからいいだろうと思っていた。
ここで話を少し戻す。
なぜわたしは現金なく絶望していたのか?
ただ歩くだけならあんまりお金いらないじゃん?
違うんだよ(# ゚Д゚)つ〃
わたしが挑んだ北根室ランチウエイは、全行程71.4kmの工程。
もちろん1日での走行は難しいため、多くて4泊5日。
短くて2泊程度で走行が可能なのだが(走る人達=トレイル・ランをする人はきっともっと早く着ける)
わたしは2泊を希望しながらも、自分の体力を考えて3泊を予定していた。
なぜ2泊を希望していたかというと、2拍の行程であれば、旅館を利用することなくテントや山小屋で宿泊が可能なプランだからだ。
【2泊標準プラン】リーズナブル度★★★★
1泊目:開陽台キャンプ場(利用は無料。トイレも水もある)
2泊目:西別岳山小屋(利用は無料。トイレも水もある)
【3泊標準プラン】リーズナブル度★☆☆☆
1泊目:開陽台キャンプ場(利用は無料。トイレも水もある)
2泊目:養老牛温泉の旅館に1泊(旅館だから高い)
3泊目:西別岳山小屋(利用は無料。トイレも水もある)
ということで、若色の体力を考慮した3泊コースだと「養老牛温泉」の旅館等で1泊する必要がある。
事前の予約で、カード決済をあらかじめしておけばいいのだが、自分の歩ける距離がいまいちわからないため、予約はしたくなかった。(「今日中に旅館に着かなければ!」と焦り、無理な行程になるのが嫌だった)
旅館に宿泊するとなると、少なくとも1万5千円程度はなくなる。
当日だとカード決済は不可。
そう考えると、絶対に現金が必要だったのだ。
なので、このスタート時点ではできたら2泊でいけるようにペースを作ろうと考えていた。
さて、また話をトレイルへ。
夢のエントリーシートに必要事項を書き込んだあと、ふと横に目をやると。。
ありました。。。。
「熊撃退スプレー」
もし熊が攻撃をしかけてきた場合につかう最後の手段。
希望者には、これを2000円でレンタルしている。
熊とサメとワニが怖いわたしには、持っていた方がいいのか悩む。
しかし、現金もなければ、わたしのバックは限界にパンパンだったので、
借りない!という選択肢を選ぶ。
ボックス内にある白い粉=石灰を靴の底につける。
牧場内にいる、牛さん達に口蹄疫を感染させないための大切な行為だ。
いざ出発。
最初はまっすぐな道をずっと進む。
しかし熊が怖い。熊が怖い。
少し進んだら後ろを振り返る。少し進んだら後ろを振り返るを繰り返していた。
マイバッグ(通称エリザベス)につけたのは、お土産でいただいた、神社の鈴。
音がとてもキレイなんだけど、普段の生活でつけるところがなくて、しまってあったのを自宅で準備している最中に偶然見つけ、それをくくりつけていた。
熊鈴ではないから、音は小さいけれど、音がしないよりいいだろうと思って、リンリンしながら歩く。
トレイル中この鈴の位置もいろいろと試行錯誤した。
最後はベストな位置にもってこれたのだが、それまではあっちにつけたりこっちにつけたりしていた。
熊が怖いのでラジオもつける。
放送はNHKしか入らなかった。
ラジオはこの旅を通してすごくいいアイテムだった。
道によっては砂利道をひたすらまっすぐとか、道路をひたすら歩くという道もあって、さすがに飽きるのです。
その時にラジオから流れる、NHKらしい穏やかで誰に対しても無害な会話と、ツボな選曲は歩き疲れたわたしを度々元気にした。
〝KIRAWAY”の赤い標識。
これがこの旅の指針。
この標識を見つけては進むのが今回の旅だ。
快調に牧場を抜け、森を突っ切る。
トトロが頭にのせている、大きな葉っぱ。
その葉っぱが枯れて茶色になっているやつに、ビクッ!としながら進む。
→なんか茶色い大きなやつがいる(涙)熊ぁぁぁああ(涙)あぁ違った。となってる。
コースが2つに分かれるところがあり、わかりやすい方を進んだはずなのだが、途中でKIRAWAYの標識が倒れている。
むー。と思いながら、こっちかな。と墓地の前を歩く。
そこに簡易トイレがあったので、お~ありがたや。用を足そうと思って、紙を持ち、開ける。
人がいた!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いや、まさかでしょ。
トレイル始まってから1時間。
最初に会ったのは、トラック運転手おじさんのお尻でした。
鍵しようよ!!!!
おじさんに「ノーーーッ!」と言われ。ごめんなさい!とトイレを諦め歩き続ける。
あービックリした。
でもちょっと笑えた。
そこから道路に出たところで、道を失う。
方向はわかるんだけど、トレイルの道がわからない。
しぶしぶ携帯を起動して、マップを確認。
方向はあっているが道がみつからない。
エリザベスを置いて、地図を片手にウロウロする。
それでもそれらしき道がない。
うーーーーむ。早々に迷子完成。
よし、こうなったら道路を歩こう。
トレイルの道から逸れるけど、目指すところは「開陽台」という、観光地になっている場所なので、道路でも十分いける場所だ。
はい、みなさま気づきましたか。
「開陽台」←”台”が入っています。
つまり、丘です。
地球が丸く見えるという丘の上です。
ここからがちょーーーつらかった。難所だった。
バックパックのエリザベスには4日分の食料が全部入っているため、荷物が重い。
そしてわたしの体もまだトレイルに慣れていない。
大型トラックがわたしの横をビュンビュン通りすぎる。
そして、アスファルトの道はつまらない!暑い!歩きづらい!
そんな中、ゆるい坂道をひたすら歩く。歩く。歩く。
つまらないーーーー
歩く。歩く。歩く。
トラックのドライバーは、身を乗り出すくらいに見てくる。
まあ、こんなところを歩いている女は珍しいですよね。
開陽台の入り口に差し掛かる。
これまでが坂だとしたら、ここからは斜面。
汗が噴き出す。超つらい。
もう限界で、少しでも荷物を軽くしたいわたしは、斜面の途中で、3本ある水のうち1本を捨てる。
上にはトイレがあるはずだから、水はそこで汲める!と言い聞かせる。
開陽台に行く観光者の車がわたしの横を颯爽と通りすぎる。
途中、変わった車が通りすぎたなーと思ったら、助手席から小さな手が出てきて、遠慮がちに振ってくれている。
サイドミラー越しにわたしも手を振りかえす。
以前沖縄の辺野古のあたりに行ったときの話を思い出す。
自転車で沖縄1周をしている男の子と話していた。
彼によると、沖縄の人は優しくて、自転車の横を車で通りすぎたあと、運転席から、ガッツポーズをしてくれたり、手を振ってくれるんで元気が出るんですよーと言っていた。
なるほど、こーゆー感覚かと思い出し、少し元気が出てそのままスローペースで歩く。
右手は駐車場。
高齢者(の車)は直進でどうぞ。
わたしは歩きだから真っすぐ。
そこから地獄の階段。
丘の上まで階段が続く。
普通だったら休憩をいれると思う。
でも、視界にゴールが見えてるだけに、あそこまで行こうと思ってしまう。
そのまま上る。
膝に手をつきながら、1歩、また1歩と階段をあがっていく。
途中右手に鐘があったが、そんなんついてる余裕なんてなくってよ!と、華麗に無視し、とにかく上へ。
着いたーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
第1セッションのゴール「開陽台」に到着。
ベンチにエリザベスをおろし、人がいるのもかまわず、シャツを脱ぎエリザベスにもたれかかる。
肩で息をしている。
肩で息をしているなんて久しぶりだなぁと思いながら、エリザベスから顔をあげられない。
やっとのことで呼吸を整える。
こんな疲れる思いを毎日するとなると、全制覇できるんかなーと少し不安になる。
本気でやってないせいもあり、効果をあまり実感できていないブログ村w